「フレデリック〜ちょっと かわった のねずみの はなし」レオ=レオニ 谷川俊太郎・訳
牧場(まきば)の石垣の中に住んでいる、五匹の小さなお喋り野ねずみたち。 野ねずみたちは冬に備えて毎日せっせと働いた。 でも、フレデリックだけは別。 フレデリックはいつもぼんやり座って、眠っているように見えた。 みんなは腹を立てて、フレデリックに夢でも見ているのかと尋ねた。 「僕は言葉を集めている」とフレデリックは答えた。 やがて雪が降り始め、野ねずみたちは石の間にこもった。 最初はぬくぬくと楽しかった。が、食糧は減り、石垣の中は凍えそう。 お喋りをする気力もなくなった時、みんなはフレデリックの事を思い出した。 「君が集めたものはどうなったのだい?」とみんなは尋ねた。 フレデリックは、美しい季節の詩を詠うのだった… 初めてこちらの絵本を読んだ時、 「人はパンのみにて生くる者に非ず」というマタイ伝の言葉を思い出しました。 聖書では、「神からの霊的な恵み」を指しているのですが… 物質的な渇きと心の渇き、両方を感じるのは人が人の故でしょうか。 また、フレデリックのように、「和」から一見外れたような存在にも意味がある事。 食料を集めたねずみたちも、言葉(芸術)を集めたフレデリックも、「是」なのですね。 ラストの詩、とても美しくて光景が目に浮かぶようです。 声を出して読むと更にじ〜んとします。 同時に、「アリとキリギリス」の話も連想させますね。 物語は色々あって面白いと思います。(2012/08/22)
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