「ねんどぼうや」ミラ・ギーンズバーグ文 ジョン・A・スミス絵 覚和歌子・訳(徳間書店)
子供が大きくなり、寂しくなったおじいさんは粘土で子供を作ります。 名前は「ねんどぼうや」。 ねんどぼうやはいっぱい食べてどんどん大きくなります。 家の食べ物を全部食べてしまったぼうやは庭に出て、 ニワトリや猫、犬も食べてしまいます。 そして、おばあさんとおじいさんも食べてしまいます。 ついには村中の人達と動物を食べ尽くしてしまうねんどぼうや。 もっともっと食べたいねんどぼうやが原っぱで出会ったのは、 金色の目をした子ヤギでした… ロシアの民話を元にしたお話です。 イラストは、映画のように迫力のあるアングルで描かれています。 ねんどぼうやは、今風にいえば『キモカワ』でしょうか? 少々不気味です。 ホラーな展開ですが、ラストはハッピーエンドです。 子供たちの反応も、「怖〜」と言いながらも楽しんでいますね。 ちなみに私が一番怖いシーンは、 ねんどぼうやが馬車を飲み込むところです。 さて、私はこのお話からは、「人工的な生命に対する恐怖」を感じます。 命は「授かる」と言いますが、自分の寂しさを癒すために、 おじいさんは人工的に子供(命)を作ってしまいます。 そして、人工的に作られた「生き物」が人々に恐怖をもたらします。 無機物から生命を生み出してしまう事の恐怖。 昔話でありながら、「生命倫理」への警鐘を鳴らしているように思えます。 残念ながら、現在は入手困難です。(2011/09/17) |