◇こんこんさまにさしあげそうろう◇


  「こんこんさまにさしあげそうろう」森はな・作 梶山俊夫・絵(PHP研究所)

   寒い寒い冬。雪がたくさん降り積もっています。
   巣穴の中で、子ギツネがお腹をすかせて泣いています。
   母さんギツネは餌を求めてさまよいます。

   村のお百姓さんのニワトリを狙いますが、
   犬に吠えられてしまいます。
   池で魚を取ろうと思いましたが、
   池は凍りついていてダメでした。

   そんな時…
   村外れのお稲荷様の森から、
   鉦と太鼓の音が聞こえてきました。

   『こんこんさまに さしげそうろう』
   という、子どもたちの声も聞こえてきました。

   今夜は「のせぎょう」だったのです。
   母さんギツネはお供えの小豆飯と油揚げを巣に持ち帰りました。
   二匹はお供えを食べて、お腹一杯になりました。

   子ギツネは母さんギツネの胸にもたれてうとうとと眠ります。
   母さんギツネは静かに子守歌を歌ってやるのでした。



   「野施行(のせぎょう)」とは…寒中に餌をさがすことのできない
   野の狸や狐などの鳥獣に餌を施す事。(YAHOO辞書より)


  非常に美しい物語です。
  暗い雪道を子どもたちが提灯を掲げ、鉦と太鼓を叩きながら
  『こんこんさまに さしあげそうろう』と唱えながら歩くシーンは幻想的です。

  「のせぎょう」とは何かを、大きい子が小さい子に説明する場面もあります。
  それによれば、野施行は鳥獣被害を防ぐため、大寒の晩に行われるそうです。
  昔の人は、こんな風に野の動物たちとの共存を図ったのですね。

  是非おはなし会で読みたいと思い練習しましたが、
  どうも泣けてしまって仕方ないので
  読み聞かせで使うのは断念しました……(2012/09/11)

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