「すーちゃんとねこ」佐野洋子(こぐま社)
友達のねこちゃんの風船を無理矢理奪ってしまうすーちゃん。 一晩中泣いて返してくれと頼むねこちゃんにも知らん顔。 でも、ねこちゃんも負けてはいません。 翌朝、たくさん風船をつかまえたねこちゃんのとった行動とは…? 大好きな絵本です。 まず表紙のすーちゃんの意地悪そうなお顔にご注目。 ねこちゃんがどんなに泣いて頼んでも、無視… いっそ清々しいほどのいじめっ子ぶりです。 でも、ねこちゃんも頑張ります。 翌朝、ねこちゃんはたくさん入手した風船をすーちゃんに見せびらかした揚句、 どんどんお空に飛ばしてしまうのです。 私が一番好きな点は、普通でしたら「ごめんなさい」「いいよ」が期待される展開ですのに、 全くそれがない事です。 こう書いてしまうと身も蓋もない感じですが、 ラストの空を飛んでいく風船を二人で見上げるシーンはとても美しく、心がジーンとします。 本当の友情とは何か…を考えさせられる絵本です。 でも、ねこちゃんはもう一度同じような事があったら、 もうすーちゃんと友達でいるのはやめた方がいいのでは?と私は思いますが。 私は小学校で読む時は2年生を対象に読んでいます。 でも、もっと大きなお子さんでも十分楽しめますし、 むしろ深い内容を理解してもらえるのではないかと思います。 |