◇とら猫とおしょうさん◇



 「とら猫とおしょうさん」おざわとしお再話 かないだえつこ絵(くもん出版)

   昔、ある村の貧乏寺に1人の和尚さんがいました。
   和尚さんは、とら猫の「とら」をとても可愛がっていました。

   ところが、とらは真夜中になるといつもどこかへ出掛けてしまいます。
   ある夜、和尚さんはとらの後をつけてみることにしました。

   とらは和尚さんの衣を着て、
   誰も住んでいない古寺へと入っていきました。

   古寺には猫がたくさん集まっていました。
   そして、酒盛りが始まりました…



  猫たちが飲めや歌えのどんちゃん騒ぎ!
  想像すると、何とも楽しい光景ですね♪

  でも、正体を見られたとらは、和尚さんの許を去っていきます。
  昔話では多い流れですが、寂しいです…

  この後、とらはユニークな方法で和尚さんに恩返しをします。

   「二・三年後に隣村で葬式がある。
   葬式の途中で棺桶を空に巻き上げるので、お経を上げて下さい。
   そうしたら、棺桶をおろしましょう」と、とら。

   とらの言葉の通り、本当にお金持ちの家の葬式があり、
   棺桶が宙吊りになってしまいます。
   お経をあげて棺桶をおろした和尚さんに、お金持ちは大感謝!
   大きなお寺を建て、寄進しました。

   とらの恩返しのおかげで、
   和尚さんは立派なお寺の偉い和尚様になったのでした。



  イラストも、猫たちの仕草がとても可愛いです。
  猫は個性的でやんちゃですね。
  宴会の場面で、卒塔婆でエア三味線(?)を弾く黒猫ちゃんには、
  不謹慎と思いつつ笑ってしまいました。
  和尚さんのくしゃみに大慌てで逃げ出す猫たちの姿も愉快です!

  棺桶の宙刷りシーンは(文字だけですと)やや怖く感じますが、
  イラストを見れば、とらの表情は茶目っ気たっぷりです。

  こちらのお話の元は「猫檀家(ねこだんか)」といい、
  東北から九州にかけて分布しているそうです。
  調べてみると色々なパターンがあり、面白いです。

  ご興味のある方は、こちらへどうぞ→「猫檀家」(ウィキペディアのページ)

  (2013/10/10)

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