◇だいこんどのむかし◇



  「だいこんどのむかし」渡辺節子・文 二俣英五郎・絵(ほるぷ出版)

   昔々。ある村で青物飢饉があった年。
   一本だけ大きく大きく屋根より高く育った大根があった。

   秋の終わり、村人たちが大根を抜こうとすると、
   大根はめくめくめく泣きだし、大根おろしになるのは嫌だと言う。
   村人たちは物言う大根は食べられない、と大事にする事にした。

   それからというもの、村は不思議に穏やかになった。
   秋の大風、冬の大雪も来なくなった。
   夏は大根殿の木陰で子供たちが遊ぶ。

   だが、毎日沢山の肥やしをやらねばならず、
   村人たちは段々世話が面倒になってきた…



  大根殿は、雪や大風の災厄から村を守ってくれているのでしょうか?
  それとも、大飯ぐらいの役立たずなのでしょうか?

  村人たちが下した決断は…
  村人たちの言葉に大根は黙って従いますが、シビアな結末が待っています。

  前半は、かの有名な「おおきなかぶ」を思わせる内容ですので、
  ほのぼのとした明るい物語かと思います。
  が、意外な展開に驚かされます。

  自然と人間の共生について考えさせられる一冊です。
  とは言え、暖かで優しい絵と柔らかな文章でつづられた魅力的な昔話で、
  読み語り用としても大変読み易いです。(2012/08/19)

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