◇さんねん峠◇

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  「さんねん峠」李錦玉・作 朴民宜・絵(岩崎書店)

  朝鮮の昔話です。

   「さんねん峠」と呼ばれる峠があった。
   この峠には、「さんねん峠で転んだら、三年しか生きられない」という言い伝えがあった。

   ある夕暮れのさんねん峠、道を急いでいたおじいさんが、石につまづいて転んでしまった。
   「わしの寿命はあと三年だ!」とおじいさんはオイオイ泣いた。
   その日から、おじいさんは病人のようになってしまった。

   そんなる日、水車屋のトルトリが見舞いに来て、
   「さんねん峠でもう一度転べば病気は治る」と言った。
   「一度転ぶと三年生きる。
   二度転べば六年。三度転べば九年。
   何度も転べばうーんと長生きできる」

   おじいさんは嬉しくなって、峠でころりんころりんと転んだ。
   こうしておじいさんはすっかり元気になり、幸せに長生きしたそうな。



  頓知話です。
  そういえば、「三年坂」で転ぶと三年以内に死ぬ、という言い伝えもありますね。
  昔話の共通性が興味深いです。(2012/08/24)

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