「さんねん峠」李錦玉・作 朴民宜・絵(岩崎書店)
朝鮮の昔話です。 「さんねん峠」と呼ばれる峠があった。 この峠には、「さんねん峠で転んだら、三年しか生きられない」という言い伝えがあった。 ある夕暮れのさんねん峠、道を急いでいたおじいさんが、石につまづいて転んでしまった。 「わしの寿命はあと三年だ!」とおじいさんはオイオイ泣いた。 その日から、おじいさんは病人のようになってしまった。 そんなる日、水車屋のトルトリが見舞いに来て、 「さんねん峠でもう一度転べば病気は治る」と言った。 「一度転ぶと三年生きる。 二度転べば六年。三度転べば九年。 何度も転べばうーんと長生きできる」 おじいさんは嬉しくなって、峠でころりんころりんと転んだ。 こうしておじいさんはすっかり元気になり、幸せに長生きしたそうな。 頓知話です。 そういえば、「三年坂」で転ぶと三年以内に死ぬ、という言い伝えもありますね。 昔話の共通性が興味深いです。(2012/08/24) |