◇ちいさなくれよん◇



  「ちいさなくれよん」篠塚かをり・文 安井淡・絵(金の星社)

   折れて短くなった黄色のクレヨンが、
   屑籠に捨てられてしまいます。
   黄色のクレヨンは、旅に出る事にしました。

   初めに出会ったのは、古くなった子供靴。
   靴についているひよこの絵が、消えそうです。
   黄色のクレヨンは、ひよこをきれいに黄色く塗り直してあげました。
   でも、クレヨンはもっと短くなってしまいました。

   その次に出会ったのは…



  黄色のクレヨンは、出会ったものたちをきれいに塗って上げます。
  が、そのたびにクレヨンはますます小さくなっていきます。

  自分を犠牲にして、他者の喜びを自らの喜びとするクレヨンの姿は、
  聖書の「一粒の麦」の言葉を思い出させます。

  ラストは非常に切ないですが、
  同時に心がぽっと温かくなる…そんな美しい物語です。(2012/09/12)

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