「ちいさなくれよん」篠塚かをり・文 安井淡・絵(金の星社)
折れて短くなった黄色のクレヨンが、 屑籠に捨てられてしまいます。 黄色のクレヨンは、旅に出る事にしました。 初めに出会ったのは、古くなった子供靴。 靴についているひよこの絵が、消えそうです。 黄色のクレヨンは、ひよこをきれいに黄色く塗り直してあげました。 でも、クレヨンはもっと短くなってしまいました。 その次に出会ったのは… 黄色のクレヨンは、出会ったものたちをきれいに塗って上げます。 が、そのたびにクレヨンはますます小さくなっていきます。 自分を犠牲にして、他者の喜びを自らの喜びとするクレヨンの姿は、 聖書の「一粒の麦」の言葉を思い出させます。 ラストは非常に切ないですが、 同時に心がぽっと温かくなる…そんな美しい物語です。(2012/09/12) |