◇きんのねこ◇

neko
 「きんのねこ(ベラルーシの昔話より)」
 八百板洋子・再話 平子真理・絵(こどものとも 2006年11月号 福音館書店)

 東ヨーロッパに位置する国、ベラルーシの昔話です。

 昔々。白樺の森でおじいさんとおばさんが仲良く暮らしていました。
 ある日、パンがなくなったので、
 おばあさんは「白樺の木を切って売って、パンの粉を買いましょう」とおじいさんに言います。

 おじいさんが森で白樺の木を切ろうとすると、突然、金の猫が現れました。
 金の猫は、「どんな願いも叶えてあげますから、木を切らないで下さい」と言います。
 おじいさんはパンの粉を願いました。
 そして家に帰ると、粉がいっぱい入った袋が置いてありました。

 次の日、野菜クズのスープに入れる塩がなくなってしまいました。
 おばあさんは、「木を切って売り、塩を買いましょう」と言いました。
 おじいさんが森で白樺の木を切ろうとすると、また金の猫が現れました。
 おじいさんは塩を願い、そして家に帰ると、塩の袋が置いてありました。

 そして次の朝、スープを作る野菜クズがなくなってしまいました。
 おばあさんは、「木を切って売り、キャベツを買いましょう」と言いました。
 おじいさんが森で白樺の木を切ろうとすると、また金の猫が現れました。
 おじいさんは「もうこれっきりにするよ」と猫に言い、キャベツを願います。
 すると猫は「何て欲のない人たちだ!」と言って姿を消しました。

 そして、おじいさんが家に帰ると、キャベツの入った袋と、肉の入った樽がありました。
 おばあさんは喜んでパンを焼き、キャベツと肉の入ったスープを作りました。

 さて、この様子を窓から覗いたのが、隣のお屋敷の旦那さんと奥さんです。
 おじいさんとおばあさんは、金の猫の話をします。

 お屋敷の旦那は森へ行き、「すぐに大きな屋敷を出すんだ!」と斧を振り上げ、
 一番美しい白樺の木を切ろうとしました。
 それを聞くと、猫はカッと目を見開き、背中の毛を逆立てて言いました。
 「何て欲張りなんだ! 家に帰るがいい」と。

 旦那さんが家に帰ると、お屋敷は消えていました。
 そこにはぽつんと粗末な小屋が建っていて、おかみさんが洗濯桶を抱えて座り込んでいました。

 さて、おじいさんとおばあさんの家では、不思議な事に、
 粉も塩もキャベツも肉も、使っても使っても減る事はありませんでした。
 二人はいつまでも幸せに仲良く暮らしたという事です。



 無欲な者が報われる…お話です。
 ところで、こちらのおじいさんとおばあさんは、あまり貧乏には見えません。
 結構立派な農家ですし、お召し物(民族衣装です)も、何だかおしゃれです。
 きっと凶作か何かで、作物が取れなかったのでしょうね。
 日本の昔話に出てくる貧乏なおじいさん・おばあさんとは大分趣が異なるのが面白いです。
 お国柄でしょうか。

 また、登場する金の猫が大変高貴な様子で格好いいです!
 すっくと立ち上がった姿などは、本当に美しいです。

 白樺の森や田園風景の美しい絵本です。
 過去に発売された月刊誌ですので、残念ながら入手は困難です。(2011/09/25)

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