◇にじのとり◇
「にじのとり」井江春代/文・絵(おはなしチャイルドリクエストシリーズ 2000年9月号 チャイルド本社)
南アメリカの昔話です。 昔々、美しい国があった。 いつも花が咲き乱れ、虹が輝き、鳥たちが飛び回っていた。 が、ここの鳥たちはみな灰色だった。 ある時、虹に異変が起きた。虹が汚れてしまったのだ。 すると、見慣れない鳥がやってきた。 それは天の鳥だった。 天の鳥は、「虹がたくさんの虫に取りつかれ、苦しんでいる。力を貸してほしい」と頼みに来たのだった。 強い翼や鋭いくちばしを持つ鳥が虫と戦う事に怖じ気づき、戦いに行く事を拒んだ。 しかし、一番小さな鳥が名乗りを上げ、そして勇気ある鳥たちが一斉に飛び立った。 虹の元にたどり着くまでの旅は、大変長く苦しかった。 が、ついに虹にたどり着き、悪い虫との戦いが始まった。 それは恐ろしい戦いだったが、ついに鳥たちが勝利し、虹は元気を取り戻した。 戦いが終わると、鳥たちの羽の色が美しい色に変わっていた。それは虹からの贈り物だった。 美しい鳥たちは国に帰ってきた。戦いに行かなかった鳥たちは驚いてしまった。 こうして、この国では虹のように美しい鳥と灰色の鳥がいるようになったという事だ。 こちらの絵本を初めて読んだのは、病院の待合室でした。 ぜひ欲しいと思ったのですが、まさか「下さい♪」とは言えず… それから六年後ぐらいに隣の隣の市の古書店で見つけた――という、 個人的になかなか感慨深い一冊です。 古本屋さんに出して下さった方、ありがとうございました。 さて、本の内容は、弱い小さな者たちが勇気を持って人助けをし、 幸せを手に入れる…という分かりやすい内容です。 バトルシーンもなかなか格好いいです。 ただ、個人的には、世情がキナ臭い時には読みにくい印象です。 お国のために戦いましょう…というメッセーをジ感じられなくもない…ので。 何だか中途半端な歯切れの悪い感想で申し訳ないですが、面白い絵本ですので、 もしどちらかで見掛けられましたら、是非お手に取ってご覧下さいませ。(2011/09/26) |