『ビロードのうさぎ』マージェリィ・W・ビアンコ/原作 酒井駒子/絵・抄訳(ブロンズ新書)
男の子がクリスマスのプレゼントに貰った、ビロードのうさぎのぬいぐるみ。 初め、男の子はあまりうさぎに関心がありませんでしたが、 やがて一緒に眠るようになり、一番大切なおもちゃになりました。 そして月日が経ち、うさぎはだんだん薄汚れてきました。 それでも、男の子にとっては、素晴らしいうさぎでした。 が、ある日、男の子は重い病気になってしまいます。 男の子が回復した時、 お医者さんは「消毒のためおもちゃや本は全て燃やしてしまいなさい」と告げます。 終わりは、突然やってきたのです… 切なく美しい絵本です。 「"本物"って何だろう?」と考えるぬいぐるみのうさぎに、 ボロボロだけど賢い目をした馬のおもちゃが、こう答えるシーンがあります。 「ほんものというのはね、ながいあいだに 子どもの ほんとうの ともだちになった おもちゃが なるものなのだ。(中略) 子どもべやには ときどき まほうが おこるものなのだ」と。 このうまのおもちゃも"本物"になれたのでしょうか? 非常に素晴らしい絵本ですが、若干長めなので、おはなし会で読む場合は、 十分時間をとる必要があると思います。 実は、私自身はこちらの絵本をおはなし会で読んだ事がありません。 理由は、ラストシーンでどうしても涙が出てしまうからです…(2011/09/20) |